ホルモン補充療法(HRT)って知ってますか?

ホルモン補充療法(HRT)って知ってますか?

かわいい女性薬剤師

 年齢を重ねるごとにエストロゲン(卵胞ホルモン)は減少していきますが、特に急激にエストロゲンが減少する50歳ごろに迎える閉経をはさんだ前後約10年間を更年期と呼んでいます。このエストロゲンが急激に減少する時期に起こりやすい心身の変化や症状としては様々なものがあります。

ほてりや発汗のイメージ 頭痛のイメージ 冷え、寒いイメージ 動悸のイメージ

めまいのイメージ くよくよするイメージ イライラのイメージ 寝つきが悪いイメージ

更年期症状のうち、エストロゲン欠乏によるものは女性ホルモンを補うことによって改善されることがあります!

年齢を重ねて、最近いつもと違うなと感じたら(「もしかしたら...」と思ったら)、一度婦人科を受診してみてはどうでしょうか?

どんな治療をしていくの?

 HRTには主に2つの方法があります。1つはエストロゲンだけを補う方法(エストロゲン単独療法)で、もう1つはエストロゲンとプロゲスチン(黄体ホルモン)を一緒に使用して両方を補う方法(併用療法:EP療法)です。

 エストロゲン単独療法が一般的だったこともありましたが、この単独療法では子宮内膜がんが起きやすくなるのでは?という指摘がされて、その欠点を補う目的で普及してきたのが併用療法です。エストロゲン単独使用では子宮体がんの発症率が高まりますが、黄体ホルモンを併用すると子宮体がんの発症率は上昇しないことがわかっています

 いずれにしても治療の有無にかかわらず、子宮がん、乳がんは年に一度検診を受けておくことが重要です。

 HRTで使用するお薬には経口薬(飲み薬)と経皮薬(貼り薬、塗り薬)があります。

使用方法や特徴によって使い分けますが、選択肢はそれほど多くはありません(裏面参照)。

一度はじめたらずっと続けなくてはいけないですか?

HRTは更年期障害の諸症状緩和に重点をおいた短期治療と、骨代謝・脂質代謝への効果に重点をおいた長期投治療に大別されます。そのため、症状が改善したら中止する方もいますし、個人の希望で続けられる方もいます。また、骨粗鬆症予防やコレステロール値を抑えるために服用している場合には続けることもあると思います。

新しいお薬あります!!

併用療法で使用できる黄体ホルモン製剤は今まで保険診療の範囲内では一つもありませんでしが、この度使用できるお薬が発売となっています。

黄体ホルモン製剤の表

 エフメノカプセル100mgは天然型の黄体ホルモンで、従来のものと比べて子宮内膜増殖症リスク、子宮体癌リスク、乳がんリスクを減らし脂質代謝(コレステロール等)に悪影響を与えないと言われています。  貼り薬だと3日くらい貼りっぱなしにする必要があるので「かぶれてしまう」という人にも適していると思います。使用にあたっては、エストロゲン製剤と併用することになり、一般的に閉経後からの期間によって『周期投与法(休みながら使用)』か『持続投与法(ずっと服用)』が選択されます。  その他、エストロゲンや黄体ホルモンは、量や種類によって脂質代謝への影響、乳房痛、不正出血などに違いがみられるため、効果と副作用の症状をセルフモニタリングしながら医師と一緒に治療をすすめることが大切です。

ホルモン補充療法のパンフレット緑ホルモン補充療法のパンフレットピンクホルモン補充療法のパンフレット水色

HRTに関するパンフレットも取り寄せることが可能ですのでお気軽にお申しつけください。 (画像:久光製薬ホームページより)