ノロウイルスについて

冬こそ注意したい食中毒

牡蠣が美味しい季節になってきました。
生牡蠣はノロウイルスに注意!というのは随分周知されてきているのではないでしょうか?
そのノロウイルスが、食中毒の原因として半数以上を占めるのはご存知でしたか?

ノロウイルスってどんなウイルス?

  • 1年を通して発生するが、11月~2月がピーク
  • 集団感染しやすく、発生すると大規模な食中毒になりやすい
  • 口にウイルスが入ることで感染し、ヒトの腸管で増殖dayorivol27_01.jpg
  • おう吐、下痢、腹痛などを起こす。健康な方は軽症で回復するが、子どもやお年寄りなどは重症化したり、吐ぶつを誤って気道に詰まらせて死亡することがある。
  • ノロウイルスについてはワクチンがなく、また、治療は輸液などの対症療法に限られる。

主な感染経路

  • 接触感染〜感染者に直接触れたり、人を介して間接的に触れることで感染
  • 飛沫感染〜感染者のおう吐物などの飛沫を吸入することにより感染
  • 空気感染(飛沫核感染)〜空気中に漂っている病原体を吸い込むことで感染(飛沫から水分が蒸発することで飛沫核となり長時間空気中に浮遊する)
  • 経口感染〜感染者の糞便やおう吐物で汚染されたものを口から摂取することで感染

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ノロウイルスの感染経路の具体例

  • 患者のノロウイルスが大量に含まれるふん便や吐ぶつから人の手などを介して二次感染した場合
  • 家庭や共同生活施設などヒト同士の接触する機会が多いところでヒトからヒトへ飛沫感染等直接感染する場合
  • 食品取扱者(食品の製造等に従事する者、飲食店における調理従事者、家庭で調理を行う者などが含まれます。)が感染しており、その者を介して汚染した食品を食べた場合
  • 汚染されていた二枚貝を、生あるいは十分に加熱調理しないで食べた場合
  • ノロウイルスに汚染された井戸水や簡易水道を消毒不十分で摂取した場合

ノロウイルスによる食中毒予防のポイント

患者数が多くなる原因の一つは、その感染経路の多さにあります。
中でも調理をする人を介してウイルスに汚染された食品を口にして感染するケースが、近年増加傾向にあります。
感染を防ぐには、ノロウイルスに汚染された食品を食べないのはもちろん、二次感染を防ぐために十分な手洗いをすることが有効です。


【調理する人の健康管理】

  • 普段から感染しないように、食べ物や家族の健康状態に注意する。
  • 症状があるときは、食品を直接取り扱う作業をしない。
  • 症状があるときに、すぐに責任者に報告する仕組みを作る。

【作業前などの手洗い】

洗うタイミングは
  • トイレに行ったあと
  • 調理施設に入る前
  • 料理の盛り付けの前
  • 次の調理作業に入る前
汚れの残りやすい所は
  • 指先・指の間・爪の間
  • 親指の周り
  • 手首

【調理器具の消毒】

塩素消毒
洗剤などで十分に洗浄し、塩素濃度200ppmの次亜塩素酸ナトリウムで浸しながら拭く。
※消毒用エタノールや逆性石鹸(塩化ベンザルコニウム)はあまり効果はありません。

※洗剤などで十分に洗浄し、熱湯で加熱する方法も有効です。

調理でノロウイルスを防ぐ

過去の原因物質

  • 貝類特に生ガキ。
  • 調理従事者からの二次汚染によるサンドイッチ、パンなど。

平成27年度では、魚介類でのノロウイルス発生件数71件に対し、うち68件が二枚貝(生ガキやホタテ等)とされている。

ノロウイルスを防ぐ調理対策

  • 二枚貝(生ガキやホタテ等)は、中心部まで十分に加熱する(85℃~90℃90秒以上)。
  • 野菜等の生鮮食品は十分に洗浄する。
  • 手指を良く洗浄する。

普段何気なく手を洗うと思いますが、衛生的に、正しく手洗いできていますか?
今一度確認しておきましょう!

!2度洗いが効果的です!

正しい手洗い

ウイルスを広げないよう感染経路を断つ!

  • 接触感染・経口感染予防には手あらい・うがい!
  • 飛沫感染や空気感染予防のため、汚物の清掃時にはマスクを!
  • 適切な殺菌消毒でウイルスが広がる前にやっつける!
  • 消毒には次亜塩素酸ナトリウム!金属や皮膚にはエタノールを。

適切な消毒とは?

消毒には次亜塩素酸ナトリウム or 加熱

  • 85度60秒以上の加熱でウイルスは失活すると言われている。(温度・時間以外に、タンパク質などの異物の存在や乾燥状態か液体の中かなどの条件に影響を受ける。90秒は加熱するとよい。)
  • ノロウイルスに強化されたアルコールも販売されており、一定の効果を示すが次亜塩素酸ナトリウムには敵わない。
  • アルコールは補助的に使用しましょう。(手あらい後の仕上げ。次亜塩素酸Naで処理できない金属類の消毒。日頃の除菌など)

塩素系漂白剤を使う場合の消毒液の作り方

汚れのふき取り(糞便・おう吐物)用0.1%程度の高濃度希釈液の作り方

  • 塩素濃度5%程度の塩素系漂白剤を使う場合は、500mlのペットボトルに、キャップ2杯の塩素系漂白剤を入れ、水を満タンに入れる。
  • 塩素濃度1%程度の塩素系漂白剤を使う場合は、500mlのペットボトルに、キャップ10杯の塩素系漂白剤を入れ、水を満タンに入れる。

環境の消毒(汚物除去後の床、ドアノブ、トイレのレバー等)用0.02%程度の低濃度希釈液の作り方

  • 塩素濃度5%程度の塩素系漂白剤を使う場合は、500mlのペットボトルに、キャップ1/2杯の塩素系漂白剤を入れ、水を満タンに入れる。
  • 塩素濃度1%程度の塩素系漂白剤を使う場合は、500mlのペットボトルに、キャップ2杯の塩素系漂白剤を入れ、水を満タンに入れる。

もし、吐いてしまったら?

  1. まずは、おう吐物をペーパータオルで覆う→汚物が蒸発してウイルスが部屋中に広がる危険性がある
  2. エプロン・手袋・マスクを着用(使い捨てできるもの)
  3. おう吐物に、紙の上からまんべんなく消毒剤をかける。
  4. 吐いた人の服をとりかえる。近くにいた人の服も替えたほうがよい。
  5. 汚物を紙ごと静かに包み取る。
  6. おう吐物が付いた床とその周りにまんべんなく消毒剤をかける
  7. 布かペーパーでふきとり、しっかり水拭きをする
  8. ふき取った紙や汚物、使用したエプロンやマスク、手袋はビニール袋に入れ密封して廃棄する。
  9. 手袋をしていても処理後には必ず手あらい、うがいをする。

便利グッズ【ルビスタ】のご紹介

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嘔吐物処理に必要な器材がすべて梱包されています。

  • 環境除菌/洗浄剤ルビスタパウダー ・・・1包
  • 吸水ポリマーシート・・・1枚
  • 調製用水 ・・・1本
  • PPE(使い捨てマスク/使い捨てエプロン/使い捨て手袋)・・・各1組
  • ペーパータオル・・・40枚
  • ポリ袋 ・・・1枚
  • 添付文書・・・1枚
  • 使用方法説明書・・・ 1枚

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食事中にはいてしまった場合は?

近くの食事にも飛沫が飛び散っている可能性があるので、廃棄するのが望ましい。

汚れた衣服やリネンの処理

  1. まずはエプロン、マスクと手袋を着用。
  2. 汚物をペーパーなどでふき取る。
  3. バケツなどの中で水しぶきをたてないよう静かに洗剤で下洗いをする。
  4. 85度以上の熱湯に1分以上浸すか、次亜塩素酸Naで消毒する。このような処理ができない場合はスチームアイロンや布団乾燥機を使うのも良い。
  5. 十分すすぎ、その後高温の乾燥機を使用するとより良い。

学校など集団行動をする場では...

感染を拡大する原因にもなります。
不用意に洗浄しないようにしましょう。

こどもの私物はビニール袋に密封して保護者に持ち帰ってもらいましょう。

個人防護具(PPE)の脱ぐ順番

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手袋の脱ぎ方

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マスクの着用方法と脱ぐ方法

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エプロンの脱ぎ方

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