風邪と風邪薬

2021.4.12 お薬病気

●原因微生物の80~90%はウイルス

風邪とは、細菌やウイルスが呼吸器系(鼻、のど、気管)などに侵入して感染し、急性の炎症(鼻水、くしゃみ、咳、痰、発熱等)を伴う病気を総称したものです。
風邪ひきのイメージ原因微生物の80~90%がウイルスです。
まれに一般細菌、マイコプラズマ、クラミジアなどによる場合もあります。
風邪ウイルスの数は200種類以上といわれておりどのウイルスが原因で起こったのかを特定することは困難です。


同じウイルスでもいくつもの型があり、それが年々変異するため、一度感染したウイルスに免疫ができたとしても、次々に新しいウイルスに感染して繰り返し風邪(かぜ)をひいてしまいます。

【呼吸器の遺物侵入を防御するはたらき】

呼吸器の遺物侵入を防御するはたらき

●風邪薬はウィルスではなく症状に効く

風邪の原因となるウイルスに直接効く薬はありません。

風邪薬は、熱や頭痛、くしゃみ、鼻水、咳などの症状を和らげ、その間に体が自らの免疫力でウイルスと戦うのを助けるためのものです。

風邪の治療のためには、薬をのむだけでなく免疫力を高めるために保温と栄養、十分な休息を取る事が必要です。


頭重感

  ・頭重感 → カフェイン


発熱

 ・頭痛、熱 → 解熱鎮痛剤 → アセトアミノフェンやイブプロフェンなど


のどの痛み

  ・のどの痛み → 抗炎症薬 → リゾチームやトラネキサム酸など


鼻をかむ

 ・鼻水、鼻づまり → 抗コリン薬 → ペラドンナ総アルカイドなど

 ・抗ヒスタミン薬 → クレマスチンフマル酸塩やジフェンヒドラミドなど


咳

  ・咳 → 鎮咳薬 → ジヒドロコデインやメチルエフェドリンなど

  ・痰去痰薬 → ブロムヘキシンやアンブロキソールなど


風邪の症状は正しく対処すれば数日で症状は治まりますが、以下のような症状がある場合、また重症化しやすいリスクのある方は早めに病院を受診しましょう。

  • 39度を超える発熱(急激に38度を超える場合も)
  • 病院で診察黄色や緑色の鼻汁、たん(細菌による二次感染が疑われるため)
  • ひどい、あるいは長く続く咳・たん(他の呼吸器疾患などが疑われるため)
  • ぜんそくなどの慢性呼吸器疾患、糖尿病、心疾患などの基礎疾患を持っている人(重症化しやすいため)
  • 風邪薬の種類とその飲み方

病院を受診すると、風邪薬として4~5種類あるいはそれ以上のお薬を処方される事もあります。

たくさんの薬を飲むイメージ

よく「たかが風邪なのにこんなに薬をのんで大丈夫?」という声を聞きます。風邪薬は症状を和らげるための薬なので、例えば発熱、鼻水、のどの腫れ、咳、痰などの複数の症状があれば、解熱剤、鼻の薬、のどの薬、咳止め、痰の薬と、それぞれに対応した数のお薬が処方されます。

一般的な市販の風邪薬は「総合感冒薬」と呼ばれるもので、その1錠の中には数種類(5~10種類程度)のお薬が入っています。

【総合感冒薬成分の一例】(成分 3錠中)

アセトアミノフェン(解熱鎮痛剤) 300mg
ブロムヘキシン塩酸塩(痰を切る) 4mg
ジヒドロコデインリン酸塩(咳止め) 8mg
ノスカピン(咳止め) 16mg
dl-メチルエフェドリン塩酸塩(気管支拡張剤) 20mg
リゾチーム塩酸塩(炎症を抑える) 30mg(力価)
マレイン酸カルビノキサミン(鼻水) 2.5mg
無水カフェイン(頭痛) 25mg
ビスイブチアミン(ビタミンB1誘導体)(体力の回復を助ける) 8mg
リボフラビン(ビタミンB2)(体力の回復を助ける) 4mg

病院の薬は1錠に1種類の薬ですから、総合感冒薬は1回分で病院の薬5~10錠を飲むのと同じくらい、という事になります。

しかも総合感冒薬だと例えば熱がなくても解熱剤も、咳がなくても咳止め飲むことになりますし、病院の処方薬には総合感冒薬にはない効果の高いお薬もあります。

●総合感冒薬のメリット

総合感冒薬にもメリットはあります。
通常は熱がない場合に解熱鎮痛剤をのんでも、咳が出ていない時に咳止めをのんでも、健康上は問題ありません。

直ちに受診出来ない場合、または症状が出始めで軽度の場合など、総合感冒薬には症状が出たらいつでもすぐに家庭で対処できるというメリットがありますので、生活や体調に合わせて上手に活用してください。

風邪薬

 ただし、アレルギー体質の方や以前総合感冒薬で副作用が出た事のある方は、薬を購入する時に十分に薬剤師に相談したうえで購入するか、病院で安全を確認できる成分のお薬を処方してもらう事をおすすめします