糖尿病の臨床と研究を考える会

2018.8.28 研究発表

 「保険薬局における運動療法の取り組み」
~糖尿病患者の健康寿命を延ばすために薬局ができること~余西先生研究発表

日  程:2018年6月23日(土)
場  所:東京オペラシティタワー サノフィ株式会社本社47階Cafe
研究者 :まつもと薬局 余西 竜弘

健康寿命とは

赤いピンのアイコン 健康で自立して生活ができる状態

赤いピンのアイコン 日常生活に支障がなく元気で暮らせる「健康な期間」

健康寿命とはのグラフ

要支援・要介護になる原因

要支援・要介護になる原因のグラフ

  高齢の糖尿病患者

  フレイルになりやすい
特にサルコペニアを引き起こしやすい
      下矢印
 転倒・骨折のリスクが増大!
  要介護・死につながる!
     予防には、
筋トレなどのレジスタンス運動が効果的

方法

2017年6月15日~10月16日の4カ月間に、当薬局に来局された患者137名(男性57名、女性80名)、平均年齢66.2歳(32~85歳)を対象にアンケート調査を実施した。アンケートは、筋肉量に関する設問を5つ設定し、設問に対する正解、説明もあわせて行った。追跡調査として筋トレ継続の確認も行った。

アンケート内容と結果

【Q1】筋肉は何もしないと加齢とともに減少していくと言われますがその速度は?

  ①.1年に1%  ②.3年に1%  ➂.5年1%

~結果~

筋肉が減少する速度のグラフのサムネイル画像

筋力は加齢とともに低下する

筋力は加齢とともに低下する調査グラフのサムネイル画像


【Q2】減少した筋肉を増やすことができるか?

  ①.できる   ②.できない

~結果~

筋肉を増やすことができるのか?を割合にしたグラフのサムネイル画像のサムネイル画像

高齢者と若年者における筋力トレーニングの効果

高齢者と若年者における筋力トレーニングの効果のグラフのサムネイル画像


【Q3】筋肉が増えると現れる良い効果とは?(複数回答)

  ①.血糖値が下がる ②.体温が上がる ➂.太りにくくなる ④.転びにくくなる

~結果~

筋肉が増えると現れる良い効果を割合で表示のサムネイル画像のサムネイル画像

    全てに効果が現れる

1.血糖値が下がる⇐筋肉で糖が消費される

2.体温が上がる⇐筋肉は人体最大の熱産生器官

3.太りにくくなる⇐筋肉は基礎代謝の38%消費する

4.転びにくくなる⇐筋力アップによる運動機能改善


【Q4】筋肉を増やす最適な方法とは?

①.ウォーキングなどの有酸素運動
②.スクワットなどの筋トレ運動
➂.ヨガなどのストレッチ運動  

~結果~

筋肉を増やす最適な方法を示したグラフのサムネイル画像のサムネイル画像

ウオーキングでは、筋肉の減少を抑制できないイメージのサムネイル画像

赤いピンのアイコン人間が二足歩行できるのは大腰筋のおかげ。

赤いピンのアイコン大腰筋を鍛えることが転倒・骨折のリスクを減らすことが出来る。

赤いピンのアイコン大腰筋を鍛えるにはスクワットなどの筋トレが必要。


Q5)説明による理解・運動意欲

  ①.筋トレ始めたいと思う  ②.筋トレ始めたいと思わない

~結果~

レジスタンス運動説明による患者さんの理解と運動意欲のグラフ

追跡調査による筋トレ継続の有無

その後、74名の患者に聞き取り調査したところ、約半数の方が継続していることが分かった。1名は運動ジムへ行き始めた。
その後の筋トレ継続の有無のグラフ

レジスタンス運動の紹介

【膝伸ばし】強化部位:大腿の前面

背筋を伸ばしてイスに腰掛けるイメージ写真のサムネイル画像

ゆっくりと膝をまっすぐ伸ばすイメージのサムネイル画像のサムネイル画像

  1. 背筋を伸ばしてイスに腰掛ける
  2. ゆっくりと膝をまっすぐ伸ばす
  3. 再びゆっくりと元の姿勢にもどる

【腿上げ】強化部位:大腰筋、お腹

背筋を伸ばしてイスに腰掛けるイメージ写真のサムネイル画像 ゆっくりと膝を胸に引き付けるイメージ写真のサムネイル画像

  1. 背筋を伸ばしてイスに腰掛ける
  2. ゆっくりと膝を胸に引き付ける
  3. 再びゆっくりと元の姿勢にもどる
    ※呼吸を止めてしまわないよう数を声に出して実施する

【後ろ蹴り出し】強化部位:お尻、大腿の後面

ゆっくりと腰を反らせないように踵から脚を後ろへ持ち上げるイメージ写真イスの背に手を置き、背筋を伸ばして立つイメージ写真

  1. イスの背に手を置き、背筋を伸ばして立つ
  2. ゆっくりと腰を反らせないように踵から脚を後ろへ持ち上げる。
  3. ゆっくりと脚を下す。
    ※上半身が前傾しないように

【スクワット】強化部位:大腰筋

イスの背に手を置き、肩幅に足を開き、背筋を伸ばして立つイメージ写真イスに座るように股関節と膝を曲げるイメージ写真

  1. イスの背に手を置き、肩幅に足を開き、背筋を伸ばして立つ。
  2. つま先と膝が同じ方向に曲がることを確認しながら、ゆっくりとイスに座るように股関節と膝を曲げる。
    ※曲げる膝の角度は45度程度とする。
    ※膝を痛めないように膝がつま先より前に出ないようにする。

【かかと上げ】強化部位:ふくらはぎ

ゆっくりと踵を持ち上げる イメージ写真 イスの背に手を置き、肩幅に足を開き、背筋を伸ばして立つイメージ写真

  1. イスの背に手を置き、肩幅に足を開き、背筋を伸ばして立つ。
  2. ゆっくりと踵を持ち上げる 。
    ※バランスを崩さないように気を付ける。

【上体起こし】強化部位:お腹、大腰筋

両膝を立てて、足を腰幅に開くイメージ写真 両腕を前方に伸ばし、お臍を覗き込むように息を吐きながらゆっくりと上体を起こすイメージ写真

  1. 両膝を立てて、足は腰幅に開く。
  2. 両腕は前方に伸ばし、お臍を覗き込むように息を吐きながらゆっくりと上体を起こす。
    ※肩が床から離れるくらいまで起こす
    ※楽に出来るようになったら腕を胸の前で組んで行う。

ロコモティブシンドローム

ロコモティブシンドロームの認知度
ロコモティブシンドロームの認知度のグラフ

もしかしてロコモかも?

7つのロコチェック

チェックボックス 片脚立ちで靴下が履けない
チェックボックス 家の中でつまずいたり滑ったりする
チェックボックス 階段を上がるのに手すりが必要である
チェックボックス 家のやや重い仕事が困難である
チェックボックス 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である
チェックボックス 15分ぐらい続けて歩くことができない
チェックボックス 横断歩道を青信号で渡りきれない
※1つでも当てはまればロコモの心配があります

ロコモ度テスト

赤いピンのアイコン

ロコモ診断、立ち上がりテスト立ち上がりテスト(片脚の場合)

下肢の筋力を調べるテストです。
両脚、または片脚で10~40cmの台から立ち上がられるかをテストします。

赤いピンのアイコン

2ステップテスト

ロコモ診断、2ステップテスト.jpg歩幅を測定して、下肢の筋力やバランス能力、柔軟性などを含めた歩行能力を総合的に評価することができます。

ロコモ診断コーナー

まつもと薬局店舗内のロコモ診断コーナーまつもと薬局店舗内のロコモ診断コーナー2

      筋トレをして健康寿命を延ばそう

筋トレをして健康寿命を延ばそうのイメージ