第48回日本薬剤師会学術大会 2015年11月22~23日

2015.11.22 研究発表


「点眼薬の適正使用に関する現状調査」

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日程:2015年11月22、23日
場所:かごしま県民交流センター
研究者:大野伴和、浅野逸郎、藤原舞子、鈴木希
    松本健春(まつもと薬局 本店)

目的

点眼薬の中でも、近年緑内障治療薬の選択肢は多岐にわたり、2剤、3剤と併用して使用されるケースも多くみられる。そのため、点眼薬の継続治療による有効性の確保のためには、適切な方法で使用することが不可欠である。今回、点眼薬の使用方法についてアンケート調査を実施した。

方法

【期間】2015年3月~5月まで
【調査対象】緑内障治療薬を含む点眼薬2剤以上が処方となっている患者
【調査方法】点眼薬の使用方法について、あらかじめ作成した調査用紙の内容に基づいて随時聞き取り調査を行った。

  • 点眼手技に関する設問 (点眼間隔や点眼順序など)
  • 点眼コンプライアンスに関する設問 (さし忘れなど)

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今回はアンケート調査とあわせて、「めぐすりハンドブック」(日東メディック株式会社作成)の配布を行い、点眼薬の正しい使い方について説明を行った。
また、点眼コンプライアンスについての設問で、目薬が上手くさせずにこぼれることがあると回答した方に対しては、点眼補助具(らくらく点眼)の紹介も行った。

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点眼順番表

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結果

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Q1-1「点眼の間隔は5分以上あけていますか?」

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点眼の間隔は5分以上開けられている人が、9割以上となった。

Q1-2「点眼の順番」

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点眼の順番を決めている人でも、順番の説明を聞いたことがない人が半数程度いたことから、自己判断で点眼順序を決めているケースが多くみられることがわかる。

順番の説明を聞いたことがある人の内訳

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点眼の順番を決めていない人では、全員が順番の説明を聞いたことがないと回答していた。

点眼の順番の正誤割合

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Q1-3「点眼1回1滴」

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1回1滴で使用できていると、9割の方が回答していた。

Q1-4,5「点眼後の閉眼・涙嚢部圧迫」

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できていると回答した方は閉眼で54.7%、涙嚢部圧迫で36%と少ない結果となった。できていないと回答した方の主な理由としては、「知らなかった」という回答が多くみられた。

Q2「点眼コンプライアンス」

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さし忘れる方は23.4%(15名)と比較的少なかった。さし忘れの理由としては、外出、多忙など突発的なものが挙げられていた。こぼれることがあると回答した方は34.4%(22名)と比較的多くみられたが、そのうち点眼補助具の購入にいたったケースは3名のみであった。

まとめ

今回のアンケート結果では、5分あけての使用や1回1滴など基本的な点眼方法についての理解度は高かったが、点眼順序や点眼手技の説明を聞いたことがある人の割合が少なかった。点眼薬の服薬指導に関して、従来は本数や剤数の確認等が主体となっていたが、今後は点眼の順序、涙嚢部圧迫などの点眼手技についても説明・確認していく必要性を感じた。今回、点眼順番や涙嚢部圧迫などの点眼手技についても紙、パンフレット等を用いて説明を行ったが、今後期間をあけて再度アドヒアランスの確認が必要と思われる。点眼コンプライアンスの項目ではこぼれると回答した方は多くみられたが、点眼補助具の購入に至ったケースは少なかったことから、新たな点眼補助具の検討あるいは、点眼手技の説明の必要性を感じた。